木守(きまもり)

天の恵みのものを、独り占めしてはいけない。

寒い中、冬を越す鳥のため、また、来年の豊作を祈って、木に一つだけとらずに残しておく実を『木守(きまもり)』いいます。

そして、利休の時代、長次郎によって焼かれた『木守』と呼ばれる赤楽茶碗の名前のいわれもここからきます。

あるとき、千利休がいくつかの楽茶碗をお弟子さんたちに選び取らせました。

当時の大流行は、黒楽茶碗。

ですので、みんなは黒い茶碗を選びました。

そして一つだけ残った茶碗がありました。

それが、赤色の楽茶碗だったのです。

そこから利休はこのお茶碗に、木守柿のように一つだけ残ったという意味で、「木守」と名づけたといわれます。

その後、名碗長次郎七種(利休の時代である初代楽長次郎の焼いた七つの名碗)のうちのひとつとして大変珍重されていたそうですが、残念なことに関東大震災で壊れてしまったそうです。

焼け跡より一片を探し、楽家二代に渡り再生し、今も伝えられているそうですが、強い風に揺れながらもしっかりと木を守っている一個の木守柿と、焼け跡に残った一片から今も伝えられる木守茶碗。

目に見えない力強さと優しさを感じます。

一路庵にはたくさんの鳥が来るので、少し多めの木守柿で🍊🍊🍊🍊🍊