唐衣
唐衣 からごろも

老松製
5月に気品高く咲くお花、杜若(カキツバタ)
は、唐衣〜からごろも〜とご銘が付けられ、
この様な素敵な和菓子にも作られます。
その由来は、平安時代、超イケメンで有名な在原業平が、京を離れ、寂しい思いで東下り(平安時代は、東京へは下りなのですね)をしている途中、今の名古屋あたりで、たくさん咲いているカキツバタの花が妻の衣にそっくりで、恋しくなって詠んだ歌
からごろも きつつなれにし つましあれば
はるばるきぬる たびをしぞ思ふ
(都には長年慣れ親しんだ妻がいるので、はるばると遠くここまでやってきたこの旅路を悲しく思うことだ)
この歌のすごいところは、ここにからごろもという言葉が密かにちりばめられているところ。
例えば、からごろものか、きつつなれにしのき、という具合に、それぞれの句の冒頭だけよむとか-き-つ-ば-たになる。
すごい!びっくり!
そこから、カキツバタのことを、唐衣とよばれるようになったそうです。
プレバト俳句、名人クラス!!
お稽古の茶花も、カキツバタを
岩根のつつじが
芍薬の花
虎が雨
5月28日になりました。
ちなみに、旧暦の5月28日にはよく雨が降るといわれ、その雨は、虎が雨と名付けられています。
曽我兄弟の敵討ちの話は、日本三大敵討ちの話として有名ですが、主人公である曽我十郎は、無事父の敵を討っ
たはものの、返り討ちで亡くなってしまいました。
そして、その恋人である虎御前が、悲しみ、嘆き、流す涙を虎が雨。
実際、旧暦のこのころは、とてもよく雨が降るそうです。
旧暦5月28日は、新暦では6月22日のようです。
虎御前は、今も曽我十郎を思い続けているのでしょうか?
岩根のつつじ
5月になると、岩根のつつじというご銘の和菓子に出会います。
目に鮮やかな、新緑の季節に相応しいお菓子ですね。
岩躑躅 (いわつつじ)折りもてぞみる
せこが着し
くれない染めの色に似たれば
和泉式部
一路庵のお玄関も、今、岩根のつつじが満開です。